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065「戸建てカスタム住宅の建築をお考えの方へ」(2019年1月号)

(BC 州カスタム住宅パッケージメーカー)勤務

現在、カナダで戸建ての住宅が欲しいと思った時、どのような選択があるのでしょうか?

カナダの場合、既存戸建て住宅を購入される方の割合が多いですが、新築の場合は、分譲建売住宅の購入、もしくは、土地を購入し、カスタム住宅を建てるという方法になります。 カスタムの場合、日本の大手ハウスメーカーの様な住宅建築業務をトータルコーディネイトしてくれるシステムが実在しないので、消費者が自ら参画せざるを得ないというのが現状です。

カナダでは住宅を一生の買い物と考える消費者が比較的少なく、不動産の売買には投資の意味合いが大きく備わっています。 土地を購入して、カスタム住宅を建てる場合、先ず、土地と建物の価格のバランスの理想的な比率を地元の不動産業者に問い合わせる事をお勧めします。 このバランスが取れていない場合、住宅の投資価値が限定されてしまう原因となり得ます。

又、土地購入の際、配送トラックの出入り可否、土地の形状やサイズ、地面の勾配、土壌の状態、電気、水道、排水サービスの設置、セットバック等の条件は、デザイン・建築費に大きく影響しますので、十分考慮する事が重要です。

土地の特徴に合った建物のデザイン選択を考慮する事もキーポイントです。例えば勾配がきつい土地等には Walk-Out Basement(土地の傾斜に合わせてベースメントを作り採光を上手く取る方法)等を上手く適用する事で、費用を抑えつつ、延床面積を効率的に設ける事が出来ます。 (写真参照)

カスタム住宅のSQFT価格という表現をよく聞きますが、この明確な定義が無い事から、ガレージ等を含めたConstruction area(施工面積)をベースに総称している業者もいれば、Living area(延べ床面積)のみをベースとしている業者等、様々です。 見積り比較の際は、各業者の見積り条件が同一である事を確認して下さい。

最近は、各地のby laws (各市政が施行する条例)が厳しくなってきています。 これらの情報はビルダーにまかせっきりではなく、購入者もしっかりと詳細を把握する事により、ビルダーとの交渉や、予測していなかった予算やデザインの変更を回避できます。

常日頃、カナダBC州のお客様が、豊富な知識を持ち、又、住宅のメンテナンスを積極的且つ前向きに自分達で行っているお客様がとても多い事に驚かされます。

カナダの建築基準をしっかりと踏まえ、自分達の住宅は自分達で守るというハウスオーナーの姿勢こそがカナダ住宅の長寿命に大きく貢献しているのではないかと思います。