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034 人に優しいデザイン1(2016年6月号)

fraser_2016-06_bodyあなたはシャンプーとコンディショナーを間違えたことはありませんか。 病院の中で迷子になった事はありませんか。090612 という日付を見て、一体いつの事かわからなかった事はありませんか。もしあったとしても、あなたのせいではありません。

ユニバーサルデザインと言う言葉は一度は耳にされたと思います。とかく身障者のためのバリアフリーデザインと思われがちですが、それだけではありません。 英語が得意でない事がここでは障害になり得る様に、誰でも状況次第で何かにつまずきます。ユニバーサルデザインは万人の生活を楽にするための工夫で、30年前にロナルド・メイス氏が提唱した7つの原則があります。子供でも操作できる公平性、左利きや弱視の人にも対応できる自由度、操作の簡単さ、情報の明確さ、間違っても危険につながらない安全性、力を要しない操作の持続性、使いやすいスペースが確保された空間性の7つです。

最初に引用したシャンプーとコンディショナーですが、どのメーカーもブランド名だけは大きくはっきり書いてありますが、シャンプーやコンディショナーの文字はなぜか小さめです。一旦買ったお客さんにとってはもうブランド名よりも、どちらがシャンプーかの方が重要です。日本ではシャンプーボトルにギザギザを付けて区別しやすい様にしていますが、ギザギザが地味で気づかない人も居ます。では、中身の品質は別として、どういうデザインが良いのでしょう。1)どちらがシャンプーなのか明確に区別でき、2)中身が減ってきたら逆さまに立てられ、3)ボトルをリサイクルするのに蓋が取りやすい事。たったこれだけの条件でも、いざ探してみるとなかなか見つかりません。

他に、例えば薬のビン。これもブランド名ばかりが目立ち、能書きはやたらと長く、文字は読んで欲しくないかのように小さく…。消費者がまず知りたい情報はただ2つ、1)何の薬か、2)いつ何錠呑むのか。

リモコンも紛らわしいですね。パワーボタンの位置も色もまちまち。リモコンがいくつもあると、どれがどのリモコンかすら判別困難。しかし、例えば中央に円形の選択ボタン、右側にチャンネルボタン、左側にボリュームボタンなど、基本は固まってきました。ところが、お気付きの方もいらっしゃると思いますが、飛行機内のエンターテインメントのリモコンはチャンネルとボリュームの位置がテレビのと逆です。私が利用したすべての飛行機がそうでした。これは反則と言わざるを得ません。

読まずにわかる、見ればわかる、触ればわかるなど、わかりやすい事は重要です。電子レンジで使えるラップや食器、調光できる電球だけに Microwavable や Dimmable と表示するのではなく、できないものにはできないという表示がしてあれば、箱をひっくり返して書いてないものを探す必要はなくなります。こうした表示は記号化し、世界統一できるはずです。

ユニバーサルデザインとは、どの人にも優しいデザインという意味です。企業、人種、国境を越えたルール作りによって、言語に頼らない世界共通理解が図れることでしょう。

おことわり:意見には個人差があります