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038 「ブレーカーと回路」 (2016年10月号)
By 木山 孝(Tak Kiyama), Mountree Electrical Services
この夏も暑い日が続き、差し込み式のエアコンを使った人もいらっしゃるかと思います。
あああ、快適と思い始めて数分、エアコンだけでなくその部屋、廊下、隣の部屋、ひどいケースだとその階全体の電気が消えてしまうことはありませんか?
そしてこれから迎える冬、スペースヒーターを使っていたら電気が切れてしまったなんてこと、ありますよね?
掃除機かけていたら、ホットプレートを使っていたら、魚焼き器を使うと、ドライヤーを使うと……ブレーカーが落ちてしまう……
ブレーカーが落ちたり、ヒューズが飛ぶのは2つの原因から起きます。一つ目は一気に大量の電気が流れる場合。二つ目は大量ではなくてもブレーカーの許容範囲以上の電流がしばらく流れた場合です。
大量の電気が一気に流れるケースは回路のどこかでショートが起きた場合です。ブレーカーを戻してもすぐ落ちてしまったりする場合は回路のどこかでショートしていることが多いのです。
皆さんがよく経験されるのは二つ目のケースが多く、電気回路に許容範囲以上の電流がある状態の症状です。電気回路を制御しているのはブレーカーやヒューズで許容範囲以上の電流を感知すると発熱します。徐々に熱を持ち、熱が高くなりすぎた時点でブレーカーが落ちたりヒューズが切れます。例えば15Aのブレーカーにつながっているコンセントに1500Wのドライヤーを使っていても問題なかったのが、2000Wの物をしばらく使っているとブレーカーが落ちてしまうことがあります。それは2000Wのドライヤーは2000W÷120V=16.7Aという計算から、許容範囲以上の電流がブレーカーを通して送電されていることがうかがえます。それならばブレーカーを換えて回路の容量を増やせばよいのではないかということになりますが、15Aのブレーカーを20Aに変えてしまうと電線の容量を超えてしまうことが多く、電線の容量以上に電流があると電線が熱を持ち、絶縁体が融けたり、コンセントが焦げたりするといった危険な状態になりえます。
最近の新築のキッチンコンセントは20Aの電流が使えるようになっていますが、普通の家のコンセントの上限は15Aに抑えられていることが一般的です。ブレーカーはショートした時だけでなく、漏電した時の人や動物、そして回路とそれらにつながっている家屋や電化製品を守っています。ブレーカーだけを換えて容量を増やせることは少ないので、電力を増やしたい場合は、延長コードなどを使って同じブレーカーで供給されていない別室から、一時的に電気を引くか、最善の方法としては新しく配線し、ブレーカーを増やす方法がございます。
改装などを行う場合、それらの電気工事も含めて計画されてみてはいかがでしょうか。