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041「売れる時代から、”いかに高く、早く売り抜く”かの時代へ」(2017年1月号)
By 吉村 フレッド(Fred Yoshimura), Realtor
2015 年秋から 2016 年春はバンクーバーや近郊の住宅価格が軒並み 30% 以上の急上昇を見せ、我々不動産業者も売る物件が無いくらい完全なセラーズマーケット(売り手市場)でしたが、8 月以降色々な政策転換によって一部の不動産が急激に冷え込んでいます。特にもはや一般世帯には手が届かない一戸建てや、3~4年後完成予定の再開発プリセールなど、富裕層や投資家層をターゲットとした不動産はセールの落ち込みが顕著です。今までインスペクションも入らず、無条件の競合オファーで売れていた時代は終わり、これから売却の方は、” いかに高く、好条件で売り抜くか”、それなりの” 準備と努力” が必要です。
1)近隣の高く、早く売れる家はそれ相応に手を入れている。
よくあの家はいくらで売れたから、自宅も同じ金額で売れると想像していらっしゃる方が多いですが、高く売れる家は相応に改装やメンテナンスがなされています。古いけどまだ使える、丁寧に使っているが 20 年以上経っている内装などは、買い手にアピールしないばかりか、価格交渉において大きく値切られる要因となります。売り出し前に全部やるのは時間や費用面でも難しいので、予め修繕プランを立てる事が重要です。
2)修繕やリノベーションのプランニング
日々一番多くの家を見ているのは何と言ってもリアルターです。修繕のポイントやリノベーションの傾向など、必ず事前にご相談ください。全体をアップデートするのは中々難しいので、先ずはセクションを分けて優先順位を決めます。新品のキッチンや浴室は費用効果が絶大で、フロアーやペイントは比較的安価にアップデートが可能です。売るためだからと言って全て安価な仕上げにしてしまうと費用効果が薄れますので、改装箇所を絞り込んで、主要な部分は高品質に仕上げます。
3)デザインや工事・施工はプロに任せる
H&G チャンネルのファンは私を含め多いと思いますが、余程の知識や経験が無い限りプロの業者さんへ任せましょう。デザインや色調、仕上げ材は 5 年以内の早いサイクルで流行が変わりますので、この際自分のセンスや好みはきっぱり捨て去りましょう。内装仕上げ、色調の打ち合わせは、新築物件のディスプレイやインテリア雑誌などを参考に、より具体的にご希望、イメージを画像で伝え、予算に応じてアドバイスを貰います。業者の選定は、施工実績や信頼のできる紹介などが重要で、大きな工事の場合には最近やった現場のお施主さんの連絡先を尋ね、直接意見を伺うと良いでしょう。安い見積もりは魅力的ですが、後々追加料金の発生や仕上がりでトラブルの基になりかねませんので注意が必要です。
4)実費以上の効果が期待できる
売るだけの目的で大きな費用をかけたくない、面倒なのでこのまま現状で売りに出したい、という意見をよく伺いますが、そのまま売りに出した場合、実費の倍以上値切られ、逆に改装をした場合には実費の倍以上の効果が期待できます。但し、何でもかんでも改装すれば良いわけではありませんので、しつこいようですが “事前に !!”ご相談ください。