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045「開発事業とは」(2017年5月号)
By 松原 昌輝 (Masa Matsubara), (MS Westcoast Homes Limited, President)
現在も、バンクーバー市を中心に、コンドミニアム等の開発が引続き盛んに進んでいます。ダウンタウンとその周辺だけでも20以上ものタワークレーンが見うけられ、工事がいたる所で行われています。バンクーバー市で昨年発行されたBuilding Permit(BP)の総数は、6,115(工事費の総計は、$2.82 Billion)で、その内3,013 Permitがコンドミニアム等の住宅の新築工事等であり、住戸数は7,496戸であります。今年も、BPの数だけを見れば、今のところ昨年と同等の進捗状況であります。
今回は、私が生業としているコンドミニアムの開発事業の概要を大まかにまとめてみました。
まず、開発事業をするにあたり、考慮しなくてはならない項目は、
- Acquisition: 市場、立地調査、敷地調査、デューデリジェンス(DD)(市場を読む、地域の特性を把握する、計画地の特徴を明らかにする、敷地の利用状況を確認する、土地の価格を読む、収益性から土地の価値を考える等)
- Development/Proforma: 事業コンセプト、事業収益計画(社会動向の把握、事業のねらい&ターゲット層の明確化、プロジェクトチームの編成等、法的事項の確認・調整、事業収支の計画・作成等)
- Marketing: 宣伝、販売
- Design: Feasibility Study、Rezoning、Development Permit、BP、基本設計、実施設計、工事監理(アーキテクトを中心に10以上のコンサルタントをマネージしながら、企画を推進していく、役所との折衝、工事とのすりあわせ等)
- Construction: 建設コスト、スケジュール、施工計画、施工業者の選定等、工事監理、Occupancy Permit(OP)、引渡し、メンテナンス、Warranty(カナダでは、Construction Management(CM)が工事をマネージすることが多く、CMをマネージしながら建設を推進していく、デザイン、予算、スケジュール、品質管理等)
- Financing: 初期投資、資金計画・調達(資金調達計画、税務計画、事業手法、事業形態の明確化、資金調達等)
もちろん、上記項目だけに限りません。また、項目の具体的な内容等は、プロジェクトごとに違います。
次に、開発事業のプロセスですが、4つの段階に分けることができます。
1.企画立案&土地購入、2.企画推進&販売、3.建設、4.引き渡し&運営、また、その業務領域は、建築関連と事業関連に分けることができ、その中間領域もあります。開発事業の期間は、プロジェクトの大きさ、複雑さにより違いますが、短くて5年、長ければ10年以上です。
私は、上記すべての項目、プロセス、業務領域に、Project Manager又はConstruction Managerの立場で、何らかの形で関与しています。主には建築関連領域をマネージし、アーキテクト及びコンサルタント、CM、施工業者等を取りまとめ、事業を推進していき、建設を完了させ、引渡しを行う、それがまでが私の仕事、生業です。
開発事業の成否は、マネージメントにあると言っても過言ではありません。それだけ大変で責任重大と言えますが、それだからこそ、やりがいもあるとも言えます。今後は、Oak Ridge Mallの大規模再開発事業等に注目していきたいと思います。