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020 「春に香りを楽しむ植木」(2015年4月号)

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<我が家の庭に咲く沈丁花> 2~3月頃、香りと花の両方を楽しめます

今年の春は例年よりずいぶん早く訪れました。今このコラムを書いてる3月中旬でも、アケボノ(ソメイヨシノ系の桜)は満開に咲き誇ってますが、その前にはフラワリングプラムが桜に似たピンク色の花を派手やかに咲かせ始めてました。

バンクーバーで見られる桜の種類は、UBC Botanical Gardenの Doug Justic氏によれば35種類ほどがあるそうです。日本名がそのまま使われてる品種がほとんどですが、当地で街路樹や庭木としたくさん見られるアケボノ は、カリフォルニアでソメイヨシノの実生から作られた品種だそうです。

アケボノが終ると八重のカンザン(関山)、ショウゲツ(松月)、シロフゲン(白普賢)などが遅咲きの桜を楽しませてくれます。

桜などの花木が咲き誇る前に花を咲かせて、春の訪れを告げてくれる植木はいろいろありますが、今回はその中でも香りを楽しませてくれる植木について述べてみたいと思います。

まず2月ごろになると、どこからともなくいい香りを放ち始める、低木で日陰でよく育つ高さ30cm位のサラココッカ(Sarcococca humilis)があります。花は小さくて咲いてることさえ気づかないことが多いですが、花よりも香りを楽しむ植木で、30cm位にしか大きくならないの で日陰のグランドカバーとしても使える育てやすい植木です。

サラココッカが終る頃日本人にはおなじみの、日当りのいいところで良く育つ淡紅色の花の沈丁花 (Daphneodora)が、素敵な香りをあたり一面に放ち始めます。沈丁花は花と香りの両方を、2月から3月にかけ1か月ほどの間楽しませてくれます が、あまりナーセリでも見かけないようなので手に入れるのに苦労するかもしれません。

沈丁花が終る頃には、日陰好みのミヤマシキミ(Skimmia Japonica)があまり目立たない小さな白い花を咲かせ、サラココッカと沈丁花とはまた違った香りを放ち始めます。この植木は低いものから、高くなる ものは1m以上にまで成長するものまでいろんな種類がありますが、花が終ったあとは1cmくらいの赤い丸い実をつけ、冬中ずっと庭に色を添えてくれます。 雌雄異株でメスの木だけに実を付けますが、最近は自家稔性種もよく見かけ一本だけで実をつける種類のものもあります。香りを楽しむ植木は家の周り、特に入 口近くに植えておくとわざわざ庭の方まで出向かなくても香りを楽しめるのでお勧めです。これら香りを楽しむ植木はいずれも常緑で、あまり大きくなることも なくほとんど剪定する必要もないので育てやすい植木です。春の訪れを花の香りで気づかされるのもいいものです。ぜひご自分の庭で育てられることをお勧めし ます。

4月11、12日にはVanDusen Botanical Garden で、すっかり恒例になった桜まつりが開かれます。今年は桜を楽しむには少し遅いかもしれませんが、このガーデンには世界中から集められた植木が多数植えら れています。祭りを楽しんだ後は広いガーデンを散策して珍しい植物を探すのもいいでしょう。ここではすべての植物にBotanical nameとCommon name が記されているのでぜひ散策されてみることをお勧めします。

また4月26日(日)にはガーデナーズ協会の植木市が日系センターで開催されますので、新しい庭木を植えてみたいと考えておられる人はぜひ覗いてみてはいかがでしょうか。