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005 「ペンキの基礎」(2014年1月号)
By 中島しのぶ(Shinobu Nakajima), インテリア、デザイン
お部屋の雰囲気を手軽に変えたりリフレッシュできるペンキは、とても便利でパワフルなデザインツールですが、実際 にお店に行くと、その種類の豊富さに戸惑うことも多いと思います。ここでは、ペンキ、それも「一般住宅の屋内の壁に使われるペンキ」に焦点を当ててペンキ の種類や「つや」といった基礎的なことについて取り上げてみようと思います。
◆ペンキの種類
住宅に使われるペンキには大きく分けて水性ペンキと油性ペンキの2つがあります。水性ペンキは、水で薄めることができ、乾く 前であれば、水で簡単に洗い流すことができます。ニオイも少なく、乾燥時間も1 ~ 2 時間程度と短いため、作業性が高く、扱いやすいペンキと言えます。一方、油性ペンキは、希釈用途で有機溶剤(シンナー)を使い、ニオイがきつく、乾燥時間 が長い(6 ~ 8 時間程度)といったデメリットがある半面、一旦乾燥すると耐久性(長持ちする力)が高く、そして、仕上がりがスムーズになるといったメリットもあることか ら、使用頻度の高いキッチンなどのスペースや、ハケ目を目立たせずに美しい仕上がりとする目的でトリムに用いられる傾向にあります。
◆ペンキの「つや」
ペンキを選ぶ上で、決めなければならないものに「つや(Levels of Gloss/Sheen)」があります。つやの段階分けや名称は、メーカーによってばらつきがありますが、スタンダードな名称をつや有りからつや無しの順 に並べると、gloss、semi gloss、satin、eggshell、flat、matte のようになります。一般に、つやがあるほど、ペンキの耐久性が高くなり、そして、下地の粗がより目立つと言われています。また、ペンキの対象とつやに関し ては、ドアやトリムなどにはsemi gloss、壁の拭き掃除が頻繁に必要である部屋(キッチン、バスルーム、ランドリー、子供部屋など)にはsemi gloss/satin、それ以外の部屋にはeggshell、天井にはflat といった組み合わせが主流であることが、主要ペンキ会社のホームページから見て取れます。
◆ペンキ技術の進歩
ペンキ技術は進歩しています。近年では、VOC(揮発性有機化合物)といって、シックハウスの原因と言われている体に有害な成分の発生を抑えたLow- VOC やZero-VOC のペンキが各メーカーから販売され、より安全なペンキの選択肢が増えています。今後も新たな機能を持ったペンキが市場に導入され続けることでしょう。皆さ んが今後ペンキを選ぶ上で、コストを含めたメリット、デメリットを検討する場面が出てくると思いますが、優良な専門家のアドバイスを受けるなどして、最適 なペンキを使っていただきたいと思います。
◆ペンキの処理・リサイクル
不要な古いペンキや、間違ってオーダーしてしまって行き場のなくなっている新しいペンキについては、各市のごみ集 積所に併設されているリサイクリング・ステーションなどへ持ち込むことが可能です。また、新しいペンキに関しては、Habitat for Humanity という団体のRestore などで受け入れている場合もあるので、お問い合わせをしてみて下さい。
関連リンク:
- BC Paint, Pesticides & Flammable Liquids (英語) – 不要なペンキを持ち込める場所を検索できます。