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042「大工とは」(2017年2月号)
By 穴澤 龍哉 (Tatsuya Anazawa), 大工
昨年末から雪が降り積もり、例年になく厳しい寒さのバンクーバーとなっています。子ども達と雪遊びをした際に、こんなことを言われました。「動物達のために家を作ってあげたい。寒いからね」と。私はハッとしました。厳しい寒さから、日々私たちを守ってくれている一つが、家です。衣食住と昔からいいますが、まさになくてはならないものです。幼い子どもたちは自然とその事を知っていたのです。
まず建築とは、設計、デザインから行います。もちろん現場や仕事内容によっては必要のない場合もあると思います。設計やデザインの業種が出来る以前は、大工がその仕事もしていたそうです。roofer, siding, stucco installer, drywaller, painter, tiler, floor installer, cabinet installer, etc. あげればきりがない程に、たくさんの業種があります。ライフラインと呼ばれる、電気、水道、ガスなどの業種は、ライセンスチケットを持っていなければ、それらを触ってはいけません。カナダでは、現場が大きくなればなるほど、例えば新築等は分業で行うのが主流です。今は日本でもそうだと思います。
カナダで大工といったら、大きく2つに分けられます。フレーマーと呼ばれる構造躯体を専門に施工する大工と、フィニッシャーと呼ばれる造作部分を専門に施工する大工です。ちなみに日本ではそれらを分けることはないので、日本の大工は知識が多く、器用だというイメージがあるかと思います。
大工というのは、建築現場で一番長い時間作業をする職人の一人です。お客様に引き渡す前に、お客様のものを一番長く手に触れるということになります。例えば、人生で高価な買い物の一つがマイホームです。賃貸住宅にしても、特にここバンクーバーは大きな出費ではないでしょうか。そのものに必ず手を入れるのは大工です。ですからそこには、お金を超えた信頼関係がとても大切になってきます。それはお互いの尊敬と感謝で成り立っているものだと思います。 大工という仕事は幅が広く、文字通り大きく工夫できる人のことを大工というのです。
日本では棟梁といい、カナダでは journey man carpenter といいます。かの有名な聖徳太子は、まさにたくさんの人達の話を聴き、みなが必要としているものを造りあげた、大工の神様だそうです。技術はもちろんのこと、理解力、不測の事態でも堂々と自信をもってその場を乗り切る判断力、お客様とスムーズに話せる会話力を兼ね備えている必要があると思います。
最後に、これを読んで少しでも大工というものに興味を持って頂けたら、幸いです。 そしていつか、いつか小さい子どもたちが憧れる職業の一つになってくれたらとても嬉しいです。