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094「建築費用の上昇」(2021年09月号)

先日弊社のキャビネット サプライヤーより連絡があり、キッツチンなどのキャビネット製造に当たり今年 2021 年 1 月より比較して
1.原材料 34% 価格上昇、
2.梱包材 75% 価格上昇、
3.国内配送費 30% アップ
4.海外からの部材輸入運賃 100%上昇 等
昨今話題のウッドショックに加えて、コロナの影響によるコンテナー不足が原因の運賃上昇もあり諸費用が値上がりしているので キャビネットの価格も平均して5%~7%の値上げとなるとの知らせが来ました。又電気工事業者よりは年初より電線などの部材価格が3倍に上がっていて尚且つ材料不足の為に充分な部材が揃わないとの話で、今後この状況が続けば住宅、リノベーションの工事費用もかなり上昇する可能性があると思われます。
戸建て住宅や木造コンドに関しては建材として木材の使用率が多く構造材(柱、梁、合板) 化粧材(床材、キャビネット、階段、家具、ドア、等)外壁材、フェンスなど多くの木材を使用しています。
木材の生産地である BC 州と言えば木材をふんだんに使った住宅というのがイメージとしてあり、日本においても日本家屋としては今も昔も檜の無垢材、節の無い化粧材を内装材に使った数寄屋作りの住宅が私の高級日本住宅住宅のイメージですが 今やウッドショックや 山林火災によるの木材の高騰、最近の Vancouver 島で問題にもなった原生林保護、資源の再利用、等を考慮すれば無垢の木材を多く使用する住宅はこれからは高級住宅となり、工事業者としては建築費用を抑える為にも木材はでは無い建築資材を使って建築コストを下げる事が今後の課題になるかと思います。
現在住宅建築資材では
構造材としてカナダで主流の木材(ツーバイ材)の代わりに SteelStud(オフイスの間仕切り壁などに使われている軽量鉄骨)、無垢材を使用した Hard wood Floor 床材の代わりにエンジニア床材、ラミネート床材、 プラスチック樹脂を使用した Vinyl Plank などの床材があり、キャビネットは無垢のドア材を使わないラミネートドア。カウンタートップでは現在主流の人造のクオーツ材などがあり、軽量鉄骨構造以外は現在の一般住宅では木材に代わる建材が主流になっています。カナダも日本も木材資源に恵まれた国で木材をメインとした住宅は安価で、安定供給が出来どこにいても手に入る建築資材でしたが、今までとは状況が違って来ています。
カナダの住宅は高気密、高断熱を基本として2033 年にはネットゼロ住宅が義務化され快適で環境やエネルギー問題に対応した世界的に技術的にも居住性も最先端の住宅となって行きますが、反面当然建築コストも上昇すると思われます。
住宅、不動産価格の上昇が材料費、工事費のコスト上昇を吸収している現在の状況が今後はどの様になって行くのか、どこまで建築費用の上昇が続くのかが大変に気になる所であり、建築費の上昇がこれからも続くとすれば大きな意味では「アフォーダブル住宅、工事」が新築住宅でもリノベーション工事でも今後の課題になって来ると思われますので建友会の仲間とも情報を共有し合いながら今後の状況に対応して行きたいと思います。