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025 「住宅選び」(2015年9月号)

(おことわり:意見には個人差があります。)

折しも近々、建友会主催イベント「住宅選びの落とし穴」講習会が予定されています。ハウスインスペクター、リアルター、ローン専門家から見た住宅選びの注意点が日本語で紹介されます。ここではその前哨戦として、設計の立場からポイントをいくつか述べさせて頂きます。

日本の建築基準法には「建築物の敷地は、これに接する道の境より高くなければならず、建築物の地盤面は、これに接する周囲の土地より高くなければならな い」とあります。明らかに浸水と衛生に関する規定です。機械類に頼る事なく、水はけに全く支障がなければ適用除外になりますが、実に基本的なポイントを言 い切っています。グレーターバンクーバーには道路より低い敷地も多く、道路だけは辛うじて水上でも、周りの土地は水没という光景も目にします。水はけは大 丈夫か、その敷地だけではなく辺りの地形も良く観察してください。Flood-plane とは氾濫領域の事です。各市町村で把握されていて、役所で確認できます。

Peat Bog とは泥炭地帯の事で、ウェブにも地図が載っていますし、役所で確認する事もできます。バンクーバーの住宅地でも意外な所に点在していますが、地表からはわ かりません。泥炭層は一般に軟弱で地耐力は弱く、沈下の危険性もあります。それでも建てられますし、実際沢山建っていますが、そういう土地を敢えて選ぶ必 要はありません。

Soil Liquefaction とは地震による液状化現象の事で、これもウェブに危険地域を示した地図が載っています。グレーターバンクーバーの広範囲に広がっている事がわかります。

風水で凶と言われるのがT字路などの突き当たりです。視界が開けている、目の前に建物が建たない安心感など利点も ありますが、車の発進音がうるさい、ヘッドライトが当たる、暴走車が突っ込む、暴風雨にさらされる、人の視線を受けるなどの不利益が考えられます。同じく 風水で凶とされているのが、川、鉄道、道路などの湾曲の外側です。遠心力が作用しますので、軌道を外れるとしたら言うまでもなく外側へです。キャンプで川 のそばにテントを張る際にも風水は応用できますね。

たとえ上手に工事されたとしても、過去に無届けで改築、特に増築された家は要注意です。仮に法規は満たしているとしても、無届けで工事した事自体が違法と なる事があり、過去の物だからといって既存として容認されるものではありません。これから改築しようとしても、又は Laneway Houseを建築しようとしても、その違法の部分を是正又は合法化しないとパーミットは降りません。役所に過去数十年分の申請図面が保管されていて、所有 者の署名があれば開示してくれます。もし当時のプランが現存し、現状が異なっていれば無届けで改築した事になります。増改築を前提にして住宅を購入するな ら、その余地があるかどうかプロに診断してもらう方法もあります。

「住宅選びの落とし穴」講習会にお気軽にお越しください。家の購入ばかりでなく、改造や売却の時のヒントにもなるでしょう。詳しくは kenyukai.caへ。