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030 「床材について」(2016年2月号)

今月は、床材に関してのお話しです。床材と一口に言っても種類はたくさんあります。カーペット材、ビニールシート材、タイル材、ストーン材、そして木質系のフローリング等ですが、今回は木質系の無垢床材と、エンジニア床材の二つにに分けて紹介していきたいと思います。

 

無垢フローリング

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<無垢アルダーの床材>巾6″(152mm)、厚3/4″(19mm)、表面の加工は、浮造りにして磨り減った感じを出したアンティーク仕上げとなっています。

主な特徴として、北米の多くの古い住宅のオリジナルの床材は、殆ど無垢床材が使用されてます。床材に限らず木製品は、環境さえ良ければ、長い製品寿命を得ることができます。表面の塗装が痛んでもサンディングして再塗装すれば、新品に近い状態に戻すことができます。

北米東部が主要な産地で知られているイースタンメープル、ホワイトオーク、バーチ、ブラックウオルナット等は、代表的なハードウッドの樹種です。北米西部産の、針葉樹のダグラスファー等も、以前は床材としてよく使用されていました。

性能的な利点

  • 北米基準の3/4”(19mm)の厚みは、木が本来持つ自然の断熱効果を得られます。
  • 床材としての寿命が長く、再塗装も可能です。
  • 樹種ごとの自然の木目の風合いや色合いを、自分の好みに合わせて選択できます。

施工する際の注意点

無垢材は、塗装仕上げ済みの製品ですが、湿度により伸縮、膨張する可能性があります。製品を購入後、施工現場にてパッケージを開けた状態で1週間ほど放置することで、現地の湿度に馴染ませてから施工を始めることをお勧めします。

 

エンジニア床材」(積層構造木製床材)

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<エンジニアの床材>巾7″(178mm)、厚3/4″(19mm) 、表面の単板は、4.5mmのヒッコリー材で、アンティーク仕上げとなっています。

エンジニア床材とは、二層、又は三層構造で人工的に張り合わせた床材のことを言いますが、ここでは、三層タイプについてお話します。

一層目は床材の表面になりますが、主にホワイトオーク、ヒッコリー、ウオルナット等のハードウッドべニア板を使用します。最近では、表面に擦り減ったような加工を施すことで、使い込まれた古材の様な趣を出した仕上げのものが流行しています。中間層と下層には、合板又は、集成板をを使うことが主流です。

性能的な利点

  • 幅広で長尺の製品を作ることができます。7インチ幅、8インチ幅が最も需要が高く、無垢材になると、ここまで幅広の床材は既製品に限ってはとても入手困難になります。
  • 無垢床材に比べて湿度による伸縮、膨張の変化が少なく、殆ど無いと言ってもいいくらいです。
  • 温水スラブ式の床暖房システムでも使用可能です。
  • 幅広の為、施工期間を大幅に短縮できます。

製品を選ぶ際のポイント

  • 一層目の表面のべニア板の厚みが、3.5mmから4.5mmの板層がある製品をお勧めします。なぜならこの程度の厚みがあることで、将来的に再塗装する場合のサンディングや塗装に適応することができます。逆に1~2mmの薄い板層の床材は、サンディングと再塗装は、難しくなります。
  • ホルムアルデヒドフリーの接着剤を使用している製品が好ましいのですが、店頭ではわかりにくい場合もありますので、メーカーのサイトなどで事前に確認して下さい。信頼できるメーカーであれば、この接着剤等に関する情報は明確に開示しています。

ここ何年かの北米での人気の床材は、幅7インチ以上の幅広のエンジニア床材で、節目が適度に入っている表情のものに需要が高まっています。