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050「建築写真の撮り方2(基本編)」(2017年10月号)

By 野元 千恵(Chie Nomoto), 写真家

前回(ふれいざー8月号)は建築写真をスマートフォン、またはコンパクトデジカメで撮影する際のちょっとしたコツをお伝えいたしましたが、今回はもう少し詳しく写真撮影の基本セッティングについて説明します。

的確な明るさの写真を撮る際には、ISO感度、絞り値(F値)、シャッタースピードの3つの要素をコントロールする必要があります。まずはそれぞれについてご説明します。

 

  • ISO感度

ISO感度とは、デジタルカメラがどのくらい光をとらえるかを表す値です。最近のデジカメはISO感度の設定が可能で、カメラの種類によって異なりますが、ISO100〜6,400以上の設定が可能です。明るい環境では数値は低く、暗い環境では光をよりとらえるために、数値を上げる必要があります。数値を上げれば写真は明るくなりますが、ある一定の値を超えると、撮影した写真にデジタルノイズ(写真がザラザラして鮮明に見えなくなる)が発生するので注意が必要です。

  • 絞り値(F値)

絞り値とは、レンズからカメラに入る光の量を調整するために、光の量を調整する要素で、F値とも呼ばれます。この絞り値を変えると、レンズの絞りの開き具合が変わり、レンズを通る光の量が変わり、明るさを調整することができます。また、絞り値を大きくするほどピントの合っている部分が広くなっていきます。逆に、絞り値を小さくするほどピントの合って見える範囲は狭くなります。いわゆる写真のボケ感を調節するのは、このF値の調節によるもので、視写界深度と呼ばれています。

  • シャッタースピード

シャッタースピードは、写真を撮る際に、どのくらいの時間光を取り込むかの時間調整のことです。シャッタースピードが遅い=光を多く取り込む場合は、写真がより明るくなり、シャッタースピードを早くすると、逆に写真は暗くなります。また、シャッタースピードを変えると、動いている被写体の写り方が変わります。前回説明した建築写真は被写体が建築なので、基本的には動きのない写真となり、ブレない程度のシャッタースピードが必要とされます。

 

fraser_201710_picこの3つの要素は図のように、強いつながりがあります。どのような写真を撮影するにも、以上の3つの要素を設定し、撮影します。特に建築写真撮影で重要なことは、ピントをできるだけ被写体全体に合わせる=絞り値を高くすることと、ブレない写真を撮ることです。そのため、建築写真撮影には三脚を使用することをお勧めします。三脚を使用すれば、手持ちと異なり、シャッタースピードをより長くし、F値を上げて撮影することが可能となります。

少し複雑な話をしましたが、これがどんな写真を撮る上でも一番の基本になりますので、より自分の思い描くような写真を撮りたい方には是非覚えていただきたいです。次回は、建築写真の撮影を、ある撮影技術を使って撮影する方法を、参考写真を入れつつお話ししようと思います。