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054「高く売れる家、売れない家。」(2018年2月号)

年が明け2018年に入っても、引き続きグレーター・バンクーバーの不動産売買は活発に動いており、特にファーストタイム・ホームバイヤーと言われる若年層のマイホーム購入市場は引き続く売り物件不足から競合が過熱し、今年も更に2桁の価格上昇が予想されています。但しこれら売れているは$1ミリオン以下のコンドミニアムやタウンハウス物件が中心で、古くても$2ミリオンを超えてしまう一戸建て住宅は2016年後半からかなり冷え込んでおり、現在では買い手市場となっています。このような状況においても、できるだけ高く契約を取り付けるのが我々不動産エージェントの仕事ですが、売り主の努力も不可欠です。

 

①家の履歴書を作成する

ストラタと呼ばれる集合住宅では、住民組合によるミーティングが頻繁に行われ、向こう30年間のメンテナンスプランなど、買い手にとって重要な情報が書面にて開示されます。しかし、戸建て住宅の場合には、セラーが回答する数ページの開示書しかありませんので、買い手側から確固たる信頼を得てオファーに繋げる必要があります。今まで行った修理修繕に対しては必ず記録し、レシートや保証書などを纏めてファイリングしておきましょう。また購入した家電類も必ずレシートや保証書を取っておきましょう。これらのメンテナンス歴がしっかり残っている場合、見学の際により具体的に説得力あるセールスが可能となり、買い手側に好印象と大きな安心を与え、結果として良い条件のオファーに繋がります。

 

②プリ・リスティング・インスペクション

ちょっと聞き慣れない言葉かもしれませんが、家をリスティングする前に売り主がインスペクションを行い、その結果に対して必要な修繕を済ませてから売りに出す場合もあります。実費で$700~$1,000ドルくらいかかりますが、これも買い手側からの信用、信頼は絶大で、売り手に対する印象もグッとあがります。我々不動産セールスマンでも良く経験するのは、問題を隠す為のいい加減なコメントと、ノープロブレム!の連発、これでは返って買い手を不安にさせるばかりで、売れる家も売れません。小さな問題を隠すより、逆に開示してしまい適正な対処をする事によって交渉全体を優位に進めましょう。

 

③費用効果の高いリノベーション

築20年を過ぎた家の場合、費用効果が高いのは何と言ってもキッチンとバスルームの改装です。全改装でなくても、キャビネットの塗装や交換、カウンタートップをクウォーツへ、蛇口や取っ手をコンテンポラリー調に交換するだけでも大きな効果を発揮します。家電類の新調もアピール度は抜群です。ポイントはワンランク上の物を選ぶこと。内装のペイントはオフホワイトやライトベージュといったニュートラルな色調を選びましょう。空間が広く見えますし、フレッシュなペイントは古い臭いを取り、清潔感が増します。

 

忙しい日常で急に全てをやるのは無理ですので、先ずは向こう数年~10年程度のメンテナンス計画を立て、快適な生活といつか来る売却の時に有利になるよう備えましょう。