記事・出版物 Articles & Publications リストへ戻る

112「Ironworker’s Memorial – ノースショアへの大動脈」(2023年03月号)

George Masseyトンネルに続いて、Second Narrows Bridge (1960年竣工)を取り上げます。子供のころは Lions Gate Bridge (当時はもっと狭かった) に続いて2番目に狭い橋(?) ――でも狭くないし、などと思っていました(笑)。もちろん、フィヨルドのBurrard inlet が2番目に狭くなっている場所に掛かっている橋、という意味です。一番狭い所は Lions Gate bridge が掛かっている場所で、古くはFirst Narrowsと呼ばれていました。反対運動によりバンクーバー市街にフリーウェイが殆ど食い込めなかったという経緯もあり、Trans-CanadaHighway の一部として実際に地域経済を回しているのは Second Narrowsのほうでしょう。華やかなLions Gate Bridge と異なり、トンネル同様、実直なところが似ていますかね。
橋の構造は、今や珍しいカンチレバートラスという形式です。カンチレバーというのは片持ちの梁という意味で、橋げたの片方だけが固定されている状態を意味します。デモ写真で原理が説明されていますが、左右の人の各々中央側の腕がカンチレバーに当たります。中央に座っている小柄な人 (渡邊嘉一氏という高名な土木技術者) が吊桁に相当する部分で、左右のカンチレバーに載せてある状態です。ちなみにこの写真はスコットランドの20ポンド紙幣に印刷されているそうです。さて、実際のSecond Narrows の中央径間も前後の片持ち梁に載せてあるだけの構造になっています (もちろん、蝶番で止めてはありますが)。なんとも奇妙な構造ですが、拘束点が少ないことに起因して、構造計算量が少なくて済むため、コンピュータが普及していなかった昔は重宝した形式だったようです。
題名に戻りますが、正式名称は Ironworker’s Memorial~となっています。これは工事中に落橋し、殉職者を19名出したことを反映しています。もっともこれは94年に名称変更したもので私が子供のころは無かった呼び方でした。割に最近の自動車教習中、教官のお爺さんも同じことを言っていましたが、30余年の空白が気になるほか、実際のところ多くの人が単に Second Narrows と呼んでいます。とはいえ、どこかで記憶に留めておく決断は良かったと言えるでしょう。    

カンチレバー構造(フォース鉄道橋)の原理を現した人型モデル
(画像引用元 https://en.wikipedia.org/wiki/Cantilever_bridge)