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113「カナダ建設業界におけるカーボンニュートラル」(2023年04月号)

世界125カ国が表明している『2050年カーボンニュートラル』ですが、カナダ政府もその目標に向けた脱炭素への取り組みを進めています。直近では2030年までに2005年(CO2換算741Mt)レベルの40%削減という目標があり、それに向かって各セクター別のアクションプランとその目標を設定しています。
カナダ全体の2020年排出量はパンデミックの影響で672Mtに下がりましたが、その前の2年間が740Mt辺りで推移していたことを考えると、この15年間で排出量はほぼ横ばいということになります。ここから2030年までの10年間で一気に40%を削減するという目標がどれだけ高いハードルか理解いただけると思います。
セクター別にみると排出量が最も多いのはTransportation(運輸部門)で排出量全体の約25%を占めています。セクターの分け方にもよりますが、それに次いで多いのはBuilding(建設。建物部門)の12%とされています。
カナダ政府は、カーボンニュートラルの達成に向けた国家戦略として”Canada Green BuildingStrategy” を策定し、以下のような措置を講じています。
*低炭素建材(木材、鉄鋼、セメントなど)の研究、利用促進
*住宅性能評価基準である“EnerGuide” や”LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)“の導入義務化や取得建物への優遇措置
*カーボン価格の導入やカーボンオフセットの活用により、建設企業に対して脱炭素への努力を促進。
*”Greener Homes Loan Program”や“Greene Neighbourhoods Pilot Program”などに資金を拠出し、既存建物のエネルギー効率の向上と再生可能エネルギーの利用などをサポート。
ここにすべての取り組みを網羅することはできませんが、上記のような対策によって建物部門の排出量を2030年までに37%低減することを目指しています。現時点での数字を見てみると、2005年の排出量84Mtに対して2019年は91Mtですが、それに対して2030年は51Mtに削減する計画です。
なおカナダ連邦政府においては環境対策や建築基準法など、各州やそれぞれの地域の特色を生かした対策を策定できるよう、サポートし同時に権限を与えています。BC州やバンクーバー周辺地域もより厳しい目標やそのための基準を設けているので、また次回検証してみたいと思います。